A good day to die

映画とか書籍についてのツイッターまとめ

燃やせよ燃やせ、命尽きるまで『ノッキン・オン・ヘヴンズ・ドア』

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  夏って楽しいですよね、太陽が燦々としているとそれだけで気分は軽やかだし、Tシャツに短パンでサンダル突っかけるだけで外に飛び出せちゃうし、祭りも花火にワクワクしたり、フェスだってあるし体と心が酔ったように弾むのが夏だと思います。
  でも永遠に続く夏は無くて、梅雨が明けてから2ヶ月半くらいでだんだん風が冷たくなってくる。半袖だけだと薄っすら鳥肌が立ったりして冷えた二の腕を摩りながらパーカーを羽織ったりしてみる。空はなんとなく彩度を落として雲が白からぼんやり滲んだような色になった夏と秋の中間くらいの季節。そんな空気を纏った映画でした。
  マーチンとルディは夏に全力で咲いたひまわりがゆっくりゆっくり俯いていくように命を削っていって、どんなに馬鹿騒ぎしててもちょっと寂しい彼らの姿はそれでも最後までひまわりの陽気さを失わない。
  だけどふたりってもともとひまわりだったわけじゃないんですよね、もっと日陰のパッとしない花だったふたりの隣に余命っていう鏡が突然ドン!と置かれて今まで見たこともなかったギラギラ輝く太陽を反射させてきてやっと自分がひまわりだってことに気づいたんです。でも気づいた頃には夏は終わりかけててふたりは夏が終わる前になんとか満開になって散らなきゃいけないから普通のひまわりが2ヶ月半かけて咲ききるところを2日でやっちゃう。ぐんと縮められたふたりの人生は縮められた分だけ圧縮されそれはそれは強烈な生命の光を発しながら輝きまくる。彼らを見るものの目を潰すほどぎらぎらと。最後に海を赤く染めたのは夕陽じゃなくてふたりの燃やす命だったのかも、なんて感想を抱きました。